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2008年6月

2008年6月17日 (火)

復興における地域社会論の視座

Purdue UniversityのDaniel Aldrich先生とのセミナーを主催.少人数ではあったが,日頃尊敬する先生や午前の会議後に神戸から参加してくれた若手研究者もあり,有意義な時間となった.


danielslide7

Daniel先生は政治学(社会ネットワーク論)の立場から,阪神淡路大震災,スマトラ津波災害,カトリーナの復興において,社会的関係性が果たした役割について,実証的な研究を進められている.社会的関係性においては,主にRobert PattnumのSocial Capital論が最も参考になっている,とのこと.
私は次のようなコメントをした.
「日常の地域社会において無数にある社会的関係性のなかで,New Orleansのde L'Est Villageにおけるフィリピン系キリスト教団体のような災害後の復旧復興を紐帯する社会的関係性となるのは,どのような性質をもつ関係性と言えるのか.たとえば,東京で言えば,自治会もあれば,PTAや子どもの教育を通したつながり,職場のつながり,そしてインターネット上のつながりなど様々ある中で,どのように災害後の「紐帯の強弱」を推し量りうるのか」
これに関連してDaniel先生は,
「質問の意識に共感します.問題は,どのように定量化(Empilical)するか,という点です.その点では,Pattnumの方法論を私は参考にしています.ただし,災害後の社会組織の特徴としては,災害によって,変化する社会組織,新しく生まれる社会的関係性がある,というダイナミズムにも注意する必要がありますね」
Daniel先生も自分も,なかなかつかみどころのないテーマにチャレンジしようとしている,という点では共通するのかもしれない.
danielseminar08june

2008年6月13日 (金)

吉井博明先生をお迎えして

 若手防災研究者の会の勉強会に参加.
 社会科学系分野における地震防災研究の系譜について,伊勢湾台風以降の自然災害をトリガーとして,人的な面,制度的な面でどのような研究の展開がなされたか,まとまった話をお聞きすることができた.
 質疑において,私は次のような質問をさせていただいた.
 「1978年の大震法で制定された『警戒宣言』について,当時吉井先生は30代半ばで,災害情報の研究者として,警戒宣言というシステムは一つのライフワークのように感じました.その後の日本海中部地震における被害調査への注力や,被害想定手法およびその公開方法の展開をふまえ,『警戒宣言』の運用のあり方や改善について,お感じになられている点はありますか」
 これに対し,吉井先生からは,大震法制定時の議論を丁寧にふりかえってくださり,「予知情報と警報は異なるもの」という点を強調された.また大震法のもう一つ重要な点として,東海地震対策区域における国家予算の重点投入という面があったと指摘され,多分に政治力学的な面を防災法制度成立には持っている点をご教示くださった.会場からは,関連して災害大国日本において,大震法のように重点的な国家予算投入を担保する法制度を検証する必要があるといった意見が出され,興味深い勉強会となった.
 実は2002年に都市計画学会の防災復興研究委員会の一員として静岡県の震災対策調査に参加したことを思い出した.その時に指摘したのは,静岡県の「トータル・パッケージ」に対して東京における「防災都市づくり戦略」であった(報告書抜粋)が,このような差異(長所と短所)を汲んでいく試みも研究としてやっておく必要があるかもしれない.

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