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2009年3月 4日 (水)

社会基盤施設の減災計画論に向けて

 お世話になっている神奈川大学の先生からの采配で,土木学会地震工学委員会の「市民の視点で地震防災を考える小委員会」「市民の視点で地震防災を考える小委員会」の副委員長をさせていただいている.
 今回,日ごろ尊敬してやまない東京大学の田中淳先生を講師にお迎えし,公開研究会を開催した.コーディネーターを私が担当.
 田中先生には,お話しいただく内容として

  • 災害被害を受けた人間行動のモデル(主な学説など)
  • その事例
  • 土木技術者に期待すること(考えてほしいこと)

 の3点をリクエストさせていただいた.
 自分的に興味深かった点は,次の通り.
  1. 市民の視点に立つにしても土木技術としての前提条件の視点整理が必要
  2. 土木施設を生活に不可欠な基盤施設と位置づけるならば,災害対策における土木技術者の基本的視点は,事前対策(耐震化)+復旧を速やかに進める,という点にあるのではないか.復旧復興を被災者ニーズに基づいて,というスタンスが本当に被災者ニーズに則しているのか,考えてみる必要があるのではないか.
     被災者ニーズは,発災からの時間経過で指数的に多様化/個別化する.こういった断片化されたニーズに土木技術は対応しうるのか.ボランティア組織においても,直後はともかく避難所が徐々に解消されていくと,実は一番大きな仕事は「ニーズを把握すること」になってくる.ニーズが外から(被災者の集団対象に対して)見えなくなる.個別に問い合わせせざるをえない.

  3. 災害時の情報の伝わり方,人間の認知の仕方は「劇的」ではなく災害時であっても「ゆっくり」
  4.  社会科学における災害研究の1つの源泉はパニック研究.ただし結果としてパニックは起きないという結論に.WTCでもパニックは起きていない.一方,大雨時の避難勧告情報が即座に地域に伝播することはなく,また即座に避難行動を決断することもない.災害時であっても,人間行動にはリードタイムが不可欠.土木技術も災害時に被災者が行動に移るまでの「リードタイム」を前提とした設計論があってもいい.

  5. 震災対応として土木技術者が目を向けるとよいこと
  6.  被害抑止に役に立っている,もしくは,構造技術的に優れているという「見せ方」に気をくばるとよい.水牛など伝統工法はこの点からも秀でていたと言えるのではないか.

  7. 復旧復興事業をめぐって
  8.  被災者の復旧事業に対する態度は,不公平感を感じると硬化する.農村と都市という地域差よりも,都市部の方が事業にあたっての負担に差が大きく出る面が,阪神と中越の相違とも言えるのではないか.そういう面では「テーラーメイド土木」といったコンセプトもあり得るかもしれない.


 これまでの考えを内省する上で大いにヒントをいただいた.

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